思い出の歌 【歌唱療法】

 

今月から2週おきに、ご夫婦の所へ歌唱療法でお伺いしています。

 

今週もモノトーン・ライアーを一緒に連れて行きました。

 

愛しい幼子を抱きかかえるように、そっと優しく指を動かすことができると、

心地よく響きます。

 

お二人で向かい合って座って頂き、それぞれがライアーを膝の上に置いて

会話をするように弾いて頂きました。

 

お二人が奏でる響きがリズムを生み出し、

波のように、

谷を渡り響くコダマのように。

 

「子守唄が鳴っているみたい。」

 

「気持ちが落ち着いて、なんだか眠くなってきました。」

 

それぞれのライアーの音は レ(D)と ラ(A)5度のインターバルの音です。

 

5度のインターバルは呼吸のリズムを整えてくれる作用があります。

 

そして、今回はご主人の思いでの曲 ドイツ民謡の「別れの歌」を歌いました。

 

シュバーベン地方に伝わる歌です。

ご主人はお若い頃ドイツに留学をなさっていました。

 

ドイツ語の歌詞を覚えていらして、奥様と私に教えてくださいました。

 

林檎畑の近くにお住まいだったこと、大学までは自転車で通っていたこと。

ランプの光で勉強したことなど、たくさんの楽しい話を聞かせてくださいました。

 

一曲の歌が懐かしい思い出を生き生きと呼び覚ましてくれます。

 

楽しそうに話されるお顔は、

若き日のお姿を彷彿させるようでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心をひらく響き

 


 

 

昨日から我が家の庭に、白いほととぎすも咲き始めました。

 

今日は友人の所へ午前中に行きました。
 

最近口数が少なくなったご主人の事を心配されて、
一緒に歌ってくれないかと
依頼がありました。

 

出掛ける間際に電話があり、

今日は歌いたい気分じゃないと夫が言ってるんだけど、

そんな状況でも来ていただけるかしら?
と謝罪しながらおっしゃいます。

 

 

嫌なものは嫌でしょうし、
無理やり歌わされても、
ご本人の気持ちが良くはなりません。

 

芸術行為は頭が先ではなく、
心が動いて行為を起こします。

 

 

彼の心を動かす事、何がいいかな?と考えて、
小さなライアーを3台、
一緒に持っていく事にしました。

 

このライアーは、9本の弦が張ってあり、指でつま弾いて音を出します。

 

一人にひとつずつライアーを持って、音を出していきました。
丁寧に耳を澄ませて、
自分の音を
そして他者の音を聴きあいます。

 

小さな響きに誘われて、
たちまちその音と共に、
彼の心が
歌い始めました。

 

 

耳を澄ませば、澄ませただけ、心の内面は穏やかになり、

たくさんのスペースがうまれます。

 

 

そこから今度は歌を歌いました。

 

京都のわらべ歌。
それから、讃美歌。

 

若い時に合唱団で歌っていた時の事を思い出されたそうです。

 

 

朗々とした歌声が響きました。

 

 

私が一番幸せを感じる瞬間です。
その人の声で、
その人らしく
歌っている。
その歌声を聞かせて頂いている時が、一番の幸せです。

心がほころぶには、沈黙の時間も大切な事

少しずつ、少しずつ、自分の気持ちを話し始めてくれるようになったね。

 

2年前はほとんど自分からは話をしないで、

 

こちらからの問いかけにうつむいて、短く返事をするだけだった。

 

 

そして、答えたくない話題には、ずっと黙ったままだった。

 

 

 

 

一回も休むことなく、片道2時間かけて通ってきてくれるのは、

 

義務なんかではなくて、あなたが本当に望んでいることだから。

 

 

愛想笑いを浮かべる事もなく、

 

答えたくない問いかけに黙っているのは、

 

自分に素直だからだと思う。

 

 

沈黙はあなたの強さを育てているのだと思う。

 

 

あなたが歌い始めれば、

 

心がほころんで、雄弁になっているのが良くわかる。

 

 

歌声は喜びも、悲しみも、苦しみも、隠すことができないのだから。

 

 

あなたの魂の似姿そのものだから。